折り畳み傘の強度計算
折り畳み傘の最もシンプルな構造は和傘で、中棒の先端(石突き)付近で親骨をヒンジ接合し、その中棒を摺動する中ろくろと親骨の中間点を受骨でヒンジ接合したものです。
これに下ろくろと引棒を加え、下ろくろと中ろくろの間に圧縮状態のバネをセットすると、バネの伸びる力を利用して傘を広げる動作を自動化できます。
身近にある便利なリンク機構です。
![折り畳み傘の構造](折り畳み傘の構造-w500×h242.png)
非線形構造解析ソフトで傘を畳んだ状態から広げる過程を計算し、広げた状態の部材応力を下図に示します。
![全開に広げた状態の応力](広げた時の応力-500x346.png)
親骨の応力は受骨接合位置を中心に高くなっており、強い風が吹くと親骨が折れ曲がって傘が壊れたことをしばしば経験しますが、納得できる結果です。
フレーム部材の応力変化を下図に示します。
![開き始め応力](フレーム応力-40sec-w500xh281.png)
開きはじめでは応力はほとんどない。
![半分開いた時の応力](フレーム応力-60sec-w500xh281.png)
ある程度度開くと受骨の応力が高くなる。
![全開時の応力](フレーム応力-100sec-w500xh281.png)
全開状態では受骨より親骨の応力が高くなっている。